年賀状を経費で経費計上するためには?会社の経費で正しく申請しよう!

決算資料の写真 コラム

企業や個人事業主にとって、年始のご挨拶は重要な仕事のひとつ。

お世話になっている方々に年賀状を贈ることは、より良好な関係を築いていくことに繋がりますが、取引先にお年賀や年賀状を贈る場合、経理処理はどのように行えばよいかご存じですか?

そこで今回は年賀状を経理処理する際の勘定科目と仕訳の書き方についてご紹介しましょう。

年賀状を送る際の勘定科目とは?

勘定項目の写真

年賀状は会計上、比較的自由度の高い扱いを受けています。

勘定科目として「通信費」や「広告宣伝費」、「販売促進費」に該当しますが、その中でも「通信費」として計上することが一般的です。

年賀状ではないハガキが「通信費」に分類されますので、年賀状も当然「通信費」という考え方が強いようです。

ただ、注意点も何点かありますので、ご紹介していきます。

年賀状に関連する勘定科目

「年賀状を贈る」という行為の中には、年賀ハガキ購入以外に様々な費用が発生していますね。

例えば、以下のような費用が挙げられます。

【支払手数料】銀行送金やクレジット分割する際の手数料
【業務委託費】作成を外部に委託する際の費用
【消耗品費】 自社で印刷する際のプリンター、インク代

これらは、それぞれを区別して計上することもできますが、金額があまり大きくならない場合には、「通信費」としてまとめることも可能です。

目的による勘定科目の違い

企業の作成する年賀状には、ただの新年の挨拶に留まらず、様々な役割を持ったものもあります。

挨拶以外の目的を含む年賀状は、その目的に応じて勘定科目が変わります

例を挙げると、

【広告宣伝費】「年賀状を持ってくると10%割引!」のような、クーポン要素が強いもの
【販売促進費】入会案内や購入案内等の、DM要素が強いもの

のような科目が該当します。

仕訳ルールの統一

前述①、②のように、自由度の高い年賀状の仕訳ルールですが、一度決めてからはその後も統一するようにしましょう。

明確なルールが決まっていないゆえに、企業・部署・組織毎に独自のルールを作成し、勘定科目を毎回毎回統一することが大切です。

年賀記念物品の場合

年賀状だけではなく、自社名や商品等をプリントした「年賀カレンダー」や「年賀タオル」を作成する企業も多いかと思います。

その際の費用は【広告宣伝費】として計上しましょう。

 

物品を贈答する場合

年賀状でも記念品でもなく、お菓子などの物品をお年賀として贈る場合には、【接待交際費】として計上します。

お中元やお歳暮の際にも同じ扱いとなります。

注意点として、法人の場合、接待交際費は損金とならずに経費計上できない可能性があります

要件や金額について制限があるので、よく注意して計上するようにしましょう。

 

消耗品費や雑費でも計上可能

年賀状の勘定科目には明確なルールがないため、最悪の場合以下のような計上も可能です。

【消耗品費】 【雑費】

ただ、雑費で計上する場合には、金額が多額にならないよう気を付けましょう。

金額が大きくなりすぎると、銀行からの評価が下がったり、税務署からの調査理由となったりする可能性があります。

出来れば【通信費】として計上することが望ましいですね。

年賀状を経費で落とすには?

電卓をたたく人の写真

通信費以外で年賀状を計上する際における仕訳の処理例を見ていきましょう。

年賀状作成にかかった費用を以下の通りとします。
※例として使うので数字や仕訳は現実的ではない点もあります。

・年賀はがき費用 50円×100枚
・表面(宛名面)自社印刷費用 1円/1枚
・裏面(内容面)印刷外部委託費用 10円/1枚

例1:挨拶目的の年賀状を作成し、関連費用も含めて【通信費】として計上

経費として計上する中で、一番簡単に計上する場合は、全て合計した額を【通信費】として計上します。

その場合の仕分け方法は以下の通りとなります。

借方 金額 貸方 金額 摘要
通信費 6,100 現金 6,100 年賀状代

 

例2:挨拶目的の年賀状を作成し、それぞれの科目を区別して計上

それぞれを正しい勘定科目で計上する場合、

ハガキ本体の【通信費】、インク代等の【消耗品費】、外部委託料の【業務委託費】の科目に、それぞれ発生した金額を計上します。

借方 金額 貸方 金額 摘要
通信費 5,000 現金 5,000 年賀ハガキ代
消耗品費 100 現金 100 インク代
業務委託費 1,000 現金 1,000 年賀状外部委託代

 

例3:年賀状にクーポンを印刷し、それぞれの科目を区別して計上

金額の配分は②と同じですが、年賀状にクーポンがついている場合は、

宣伝の要素が強くなっているため、ハガキ部分を【広告宣伝費】として計上します。

借方 金額 貸方 金額 摘要
広告宣伝費 5,000 現金 5,000 年賀状代
消耗品費 100 現金 100 インク代
業務委託費 1,000 現金 1,000 年賀状外部委託代

 

例4:年賀状に購入案内を印刷し、それぞれの科目を区別して計上

購入案内や入会案内など、商品・サービスの消費を促す目的を含んでいると【販売促進費】となります。

借方 金額 貸方 金額 摘要
販売促進費 5,000 現金 5,000 年賀状代
消耗品費 100 現金 100 インク代
業務委託費 1,000 現金 1,000 年賀状外部委託代

 

例5:年末に95枚使用。越年後3枚使用した際の関連費用含めて【通信費】として計上

上記の場合、経費計上のタイミングが重要になってくるため、丁寧にご説明していきます。

ハガキ(年賀ハガキ含む)や切手等は、原則「使用」した時点で経費として計上することになっています。
今までの例のように、年賀状を「購入・作成」したタイミングではないのです。

ただ、”原則”と記述している事からも分かるように、作成・購入時点で計上することも認められております

ハガキ等が一般的には常に使用し、新しい在庫を仕入れる流動的な物として考えられていて、使用時の計上だと処理が複雑になるためです。

ただ、あまりにもその部分の数字が大きすぎると、税務署から不審に思われることもありますので気を付けましょう。

実際には購入・作成時での計上を採用する組織の方が多いようです。

但し、購入・作成時点で計上するのか、使用した時点で計上するのか、こちらも組織ごとにルールを作り、毎回の仕訳の際に統一していかないといけません。

 

【100枚の年賀状を購入・作成し、95枚を使用した時の仕訳】

借方 金額 貸方 金額 摘要
通信費 5,795 現金 5,795 年賀状代
貯蔵品 305 現金 305 年賀ハガキ未使用分

【その後新たに3枚使用した時の仕訳】

借方 金額 貸方 金額 摘要
通信費 305 貯蔵品 305 年賀状代

まとめ

POINTの文字(まとめ)

会社員の方だけでなく、フリーランスの方にとっても年賀状という営業ツールは重要なポジションに位置づけられるのではないでしょうか。

中でも経費計上できるのかという点に関しては、フリーランスの方の方が大きな論点となりそうです。

ここで紹介したように、正しい仕訳を行えば、年賀状も経費計上することは可能ですので、うまく利用して収益UP&所得税削減に繋げたいものですね。

経費仕訳の中でも自由度の高い年賀状は、その特性を悪用することもできるかもしれません。

ただ、そういった方が少ないからこそ自由度が高く、特例も認められている現状があるのだということは忘れないでいただきたいものです。

悪用する方が増えれば、それを制度で封じる動きが生まれ、会計を処理する方全員にとって不都合な結果となってしまう可能性もありますね。

会計処理をに携わる者として、大きなルールを守りつつ個別のルールを作っていくという、今までの方たちからのバトンを途切れさせないようにしましょう。

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