昨今のビジネス現場では何かとペーパーレス化が進み、これまでは年頭行事として当たり前に行われていた、年賀状の送付もメールなどに取って代わられる傾向にあります。
これは個人経営のラーメン店などでも同様で、LINE公式アカウントなどの隆盛により、お客様への挨拶などもスマホ1つで完結するようになってきました。
しかし、そんな風潮が流れる現代だからこそ、お客様の印象に残るようにあえて年賀状を送るという習慣を見直してみてはいかがでしょう?
ここでは、そんな個人経営のラーメン店が年賀状を送る場合のアイデアと、そのまま使える文例を3つご紹介します。
ラーメン店がお客様に出す年賀状の役割
では、ペーパーレス化が当たり前の時代に、あえて個人営業のラーメン店が年賀状を出す意味とその役割を、改めて考えてみましょう。
新年の祝いと旧年中の感謝を伝える
そもそも年賀状というのは、新しい年を迎えた年頭に、新年の祝いと旧年中の感謝を伝えるための書状です。
これは諸外国にはない日本独自の風習で、古来より人々のコミュニケーションの1つとして行われてきました。
人々の生活に根付いた庶民的なラーメン店のような商売では、あえてこうした風習に則って、形のないメールではなく直接お客様が手に取ってもらえる年賀状に、日頃の感謝を込めることに意味があります。
自店のブランドイメージを再認識してもらう
メールなどのテキスト文書では、文面や絵文字などの工夫をすることはできても、フォーマットはどうしても画一的なものになってしまい、オリジナルな個性を発揮することはできません。
しかし、年賀状は1枚のはがきの両面を使って、自店の想いを載せた個性あふれる書状を作ることができます。
文面やビジュアルデザインも工夫して、自店のブランドイメージをお客様に伝え、新しい年のスタートから記憶に刻んでもらいましょう。
PR用チラシとしての効果
年賀状で伝えられるのは感謝の言葉だけではありません。
年始の営業開始日のお知らせから、年初のキャンペーンなどの告知、さらにはクーポン券要素まで盛り込むことができます。
これらはもちろんメールなどで告知することもできますが、はがきとして形の残る年賀状であれば、データの海に飲まれることもありません。
また、通常のDMとは違って、お年玉付き年賀状を利用すれば、お客様も少なくとも抽選日までは捨てずに、手元に残しておいてくれることが期待できます。
ラーメン店向け年賀状のアイデアと文例
ラーメン店の年賀状で使用できる文例と、デザインなどのアイデアの一例をご紹介します。
自店のイメージに合わせてアレンジして使ってみてください。
1.標準的な年賀状の文例
文例
謹んで新年のお祝いを申し上げます
昨年は大変お世話になりありがとうございました
本年も皆様に愛されるお店を目指して
スタッフ一丸となって努力してまいります
どうぞよろしくお願いいたします
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
令和◯年 元旦
新年は◯日◯時より通常通り営業致します
ささやかながら◯日までは新春祝いとして
ラーメン1杯100円引きでのご提供をさせていただきます
チェックポイント
本文はごく当たり前な年賀状の文面を応用して、小さな店がスタッフ一丸となり頑張る姿勢を示します。
尚、原則的に挨拶文などには句読点は入れないため文が長くなる部分は改行によって対応します。
添え書きの部分に営業案内と、年初のキャンペーン情報を盛り込むことで、宣伝色を消しましょう。
デザインアイデア
このタイプの年賀状では、デザインも奇をてらわずにオーソドックスな縦書きレイアウトを選びます。
ただし、ビジュアルは自慢のラーメンの写真、もしくは店主(とスタッフ)の笑顔の写真を使うなどして、どこのお店からの年賀状であるのかひと目で分かるようにしましょう。
また、店名・住所・電話番号などのデータは表面に記載するようにして、裏面はできる限りシンプルなデザインとします。
2.格調高く高級感のある年賀状
文例
恭賀新年
幸多き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます
旧年中はひとかたならぬご愛顧を賜り
誠にありがとうございました
新しい年が皆様にとって佳き年でありますよう
心よりお祈り申し上げます
本年も何卒よろしくお願い申し上げます
令和◯年 元旦
ラーメン◯◯
住所・電話番号
チェックポイント
「謹賀新年」「恭賀新年」などの四字熟語の賀詞には、相手への敬意の言葉が含まれています。
「謹(謹んで。相手を尊ぶ)」「恭(うやうやしく。礼儀正しく丁寧)」などは、そういった意味でも格調高い年賀状にはふさわしい言葉です。
ただし、「謹」の字は比較的ビジネス現場で上司などに送る場合に使われることが多いため、お客様相手の年賀状ではビジネス色が強くない「恭」の字を用いることをおすすめします。
尚、せっかくの高級感のある文面であるため、宣伝にあたる内容は一切盛り込まず、シンプルな文面にするほうが望ましいでしょう。
営業案内やキャンペーン情報を盛り込みたい場合は、下部に小さく挿入するか、表面を利用するようにしたいものです。
デザインアイデア
シンプルな縦型デザインを利用し、金・紫・朱といった色を使用すると高級感を演出できます。
ビジュアルは綺麗に清掃・整頓されたピカピカな店内写真や、看板や正月飾りをした店頭の写真を利用するなどして、いい意味でラーメン店らしからぬ高級感漂うブランドイメージを伝えるようにしましょう。
3.ユーモアあふれる年賀状
文例
ラーメン1杯、幸せいっぱい
あけましておめでとうございます
昨年は大変お世話になりありがとうございました
今年は丑(ウシ)年ですが
当店は豚(トン)コツラーメン一筋でおかげさまで◯年目を迎えました
これからも皆様に幸せを感じていただけるラーメンを
1杯1杯心を込めてお作りいたします
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
令和3年 新春
◯◯店 店主
住所・電話番号・営業時間
*新年は◯日◯時より営業とさせていただきます
チェックポイント
よりPOPなイメージで、手に取ったお客様がクスッと笑えるような、ユーモアあふれる文面とします。
「豚(トン)コツラーメン」の部分は、当てはまらないようなら「午(ウマ)いラーメン」など、状況に応じてアレンジしてみてください。
キャンペーン情報やクーポン券情報などを記載したい場合は、これ以上は情報過多となるため、表面を利用するようにしましょう
デザインアイデア
レイアウトは縦型・横型どちらでも構いませんが、テキストは必ず横書きとします(数字が入っているため)。
ビジュアルデザインは「幸せいっぱい」という意味を込めて、可能であれば許可の取れたお客様の笑顔の写真を、コラージュのようにたくさん貼り付けたデザインがおすすめです。
それが難しければアンケートを並べて撮影した写真や、スタッフの笑顔の写真などを使ってもいいでしょう。
ラーメン店の年賀状2つの作成・送付方法
お客様に対して年賀状を出すためには、そもそも顧客リストがなければ年賀状自体を出すことができません。
年賀状という新年最初のPRポイントを有効に活用するためにも、常日頃からアンケート用紙やポイントシステムなどで、お客様の顧客データを収集するという意識が必要です。
そんな顧客データを利用して年賀状を送付するには、2つの方法があります。
自分で宛先、添え書きを記入する
1枚1枚自身の手で宛先を記入する方法です。
この場合は、さらに手間はかかりますが、やはり欄外へのひとことの添え書きなども直筆で書くことにより、お客様に対してより丁寧な印象を与えることができるでしょう。
もしも宛先は印刷を選択したとしても、添え書きを直筆で記入するだけでも、お客様の印象は違うはずです。
業者に丸投げする
ラーメン店に限らず年末の飲食店は、通常の営業以外にもやらなければならないことが山のようにあります。
そんな中で年賀状の準備まで行うというのは、正直言ってキツいものです。
そんな時はすべての作業を業者に丸投げするというやり方も、致し方ない選択肢ではあります。
文面を考えて、店のデータと顧客データを業者にメールすれば、年賀状の手配、印刷、宛名印刷から投函まで、すべてを一貫して行ってくれるシステムを持った印刷所もあり、忙しいラーメン店の経営者にとっては力強い味方となってくれるでしょう。
もちろん多少の費用はかかりますが、よりクォリティの高くお客様の印象に残る年賀状を、手間暇を極限まで抑えて手軽に作るためには、検討してみる価値はあるはずです。
まとめ
いかがでしょうか?
ペーパーレス化が進む現代でも、年に1度、新年の始まりの時だからこそあえて形に残る年賀状を出す。
これは普段からお客様と近い立ち位置で商いをする飲食店、特に庶民的な個人営業のラーメン店などでは、セールスプロモーションの意味でも大切な行事の1つです。
しかし、その本質は「お客様に新年の祝いと日頃の感謝を伝える」ということです。
これを忘れずに、有効な年賀状プロモーションを行ってみてください。