企業間ビジネスの付き合いの中で、年に2回日本古来の風習に則り贈り物を贈り合う、お中元とお歳暮。
これらを贈る正式な時期というのは、一体いつ頃なんでしょうか?
実はこれは関東と関西によっても違いがあります。
この記事では、そんなお中元とお歳暮を贈る時期を、関西と関東に分けて解説するとともに、実際に取引先に送る場合のビジネスマナーについて詳しく解説していきます。
贈る時期は関東と関西では違う
お中元とお歳暮を贈る時期は、関東と関西によって違いがあり、特に地域をまたいで贈る場合は気をつけたいポイントです。
しかしそれぞれの時期については、日本の風習上一般的に適切とされる期間はあるものの、ビジネス現場においては一時期に集中しすぎないようにという配慮や、他社との違いを出すためなど様々な理由で、年々贈る時期自体が早くなる傾向にあります。
そこでここでは一般的な時期に加えて、実際のビジネス上のお付き合いにおいて、取引先に対して失礼に当たらずに贈れる時期を合わせてご紹介いたします。
お中元を贈る時期
一般的にお中元とはその年の上半期の感謝を伝えるものですから、関東では7月上旬、関西では8月上旬に贈るとされています。
これはそれぞれ、お盆の時期を旧暦と新暦のどちらで捉えるかが違うためです。
また、現在のビジネス現場ではそれぞれその前月の下旬くらいから贈り始める企業も多くなっています。
関東 | 関西 | |
お中元を贈る時期 | 7月1日~15日 | 8月1日~15日 |
ビジネス上の時期 | 6月20日~ | 7月20日~ |
お歳暮を贈る時期
お歳暮は一年の感謝を込めて、お世話になった個人・企業宛に贈られる贈り物です。
その時期に関しては一般的に関東よりも関西のほうが、時期そのものが短くなっています。
これは歴史的背景を重んじる関西と、実質的な利を選ぶ関東の風土的な違いに基づいていますが、特に関東から関西の取引先に贈る場合については気をつけるようにしましょう。
関東 | 関西 | |
お歳暮を贈る時期 | 12月1日~25日 | 12月13日~20日 |
ビジネス上の時期 | 11月20日~ | 12月1日~ |
お中元やお歳暮を贈る際のビジネスマナー
お中元とお歳暮を取引先に贈る場合のビジネスマナーについては、いくつか注意すべきポイントがあります。
以下、それぞれのポイントについて解説します。
贈るのが遅くなってしまった場合
お中元やお歳暮はそれぞれ企業間取引を円滑に進めるための、大切な営業ツールともなりますので、滞りなく期間内に届くように発送作業を手配したいものです。
しかし、ついうっかりして期間内に届くように贈りそびれてしまったり、よきせぬ相手から贈られてお返しの品を贈る場合など、ふさわしい時期を外してしまった場合の贈り方についてはそれぞれ次の通りです。
お中元編
関東・関西いずれの場合でも、お中元の時期より遅れて贈る場合には、熨斗の表書きを「暑中御見舞」または「残暑御見舞」として贈ることができます。
関東 | 関西 | |
暑中御見舞を贈る時期 | 7月15日~8月7日頃 | ~8月15までお歳暮でOK |
残暑御見舞を贈る時期 | 8月7日~9月上旬 | 8月16日~9月上旬 |
お歳暮編
関東・関西いずれの場合でも、年内に先方に届くことができるのであれば、ギリギリお歳暮として贈ることはできます。
ただし、代表者や担当者の個人宅に贈る場合なら構いませんが、職場などの企業相手に贈る場合には、クリスマスから年末の間は年末の休みにかかってしまう可能性もあるため、お歳暮を贈るのは控えるのがマナーです。
その場合には年が明けてから改めて、「御年賀」もしくは「寒中御見舞」として贈るようにしましょう。
関東 | 関西 | |
御年賀を贈る時期 | 1月1日~1月7日 | 1月1日~1月15日 |
寒中御見舞を贈る時期 | 1月8日~2月4日* | 1月15日~2月4日* |
*一般に寒中御見舞は立春の前日までに贈れるとされていますが、立春は年によってずれる場合もありますのでご注意ください。ちなみに2021年の立春は2月3日となりますので、前日の2日までが期限となります。
送り先の宛名はどうする
取引先の企業に贈る場合は、代表者である社長宛に贈るのが一般的です。
ただし相手が大きな企業で直接社長との面識が無い場合などでは、支店や営業所、部署の代表者に宛てて贈るものとします。
また、特に世話になっている担当者がいる場合などでは、担当者個人へ宛てて贈っても構いません。
贈る場所は原則的には企業宛として、企業間取引の場合では個人宅には贈らないのがビジネス上のマナーです。
その際、宛名は会社名・支店名・部署名・肩書・個人名など、すべて省略せずに書くようにしますが、逆に万が一代表者や担当者の個人宅へ直接贈る場合などでは、部署名や肩書などは一切書かず、個人名だけ書くのが正式なマナーとされています。
取引相手に贈るのにふさわしい品・金額とは
お中元・お歳暮共に企業相手に贈る場合の品物は、その部署の社員がそれぞれ手軽に取り分けることができる、個包装された軽量の菓子類などを贈るのがもっともふさわしいでしょう。
個人宅に贈る場合をのぞいては、調理が必要なものや、分けるのが難しいものを贈るのは控えたいものです。
お中元の場合
個包装された水ようかんや冷菓といった水菓子、缶ジュースの詰め合わせなど。
夏の時期であることから、冷蔵庫で冷やして楽しめるものを贈るのが適していますが、取引先によっては冷蔵庫を有していない可能性もあるため、軽い洋菓子の詰め合わせなどの方が喜ばれる場合もあります。
お歳暮の場合
クッキーやチョコレートなどのちょっとしたお菓子で、個包装されたものをチョイスするのが一般的ですが、社員が分けて持ち帰る事ができる軽量な個包装がされたものであれば、スティックコーヒーなども喜ばれるでしょう。
金額の目安
一般的には3,000円~5,000円程度の商品を選べば、相手に過度の気遣いをさせず受け取ってもらうことができます。
お中元とお歳暮どちらかに差をつけるのであれば、お歳暮のほうが少し高級なものを選ぶのがマナーとされています。
お中元・お歳暮を贈らずに季節の挨拶状を送る
お中元もお歳暮も、どちらも贈らなければならないというわけではなく、もしもどちらかを削減するとしたら、お歳暮のみ贈るものとしましょう。
ただし企業間取引においては、年々過度な贈り物の贈り合いは避ける傾向にあるとも言えますので、そういった場合はお中元やお歳暮を贈るのではなく、季節の挨拶として暑中見舞いや年賀状の有効性を改めて見直すのもおすすめです。
日頃の感謝の念を込めた暑中見舞いや年賀状ならば、何より先方に過度な心的負担をかけることもありません。
外注業者をうまく使って担当者の負担を減らすことも含めて、戦略的な営業活動のためにも今一度暑中見舞いや年賀状の有効性を見直してみてはいかがでしょうか?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
お中元とお歳暮の、関東と関西の贈る時期の違いと、その際に気をつけたいちょっとしたビジネスマナーについてご説明しました。
いずれにしてもお中元やお歳暮、暑中見舞いや年賀状などは、企業間取引では相手先に日頃の感謝を伝えるとともに、今後の厚誼を願う大切な営業ツールです。
それぞれをどのように選択し利用するか考えることも大切な営業戦略ですので、費用対効果や作業効率なども含めてしっかりと検討し、自社の営業活動に効果的に取り入れていくことが望まれています。