近年のビジネスシーンにおいては、すべからくペーパーレス化が広がり、年頭行事の1つであった年賀状のやり取りをすることは少なくなっています。
そういった場合はメールなどで新年の挨拶を送るといった、社内ルールを採用していることもあるでしょう。
しかし、こちらにそのような社内ルールがあるとはいっても、中には丁寧に年賀状を送ってくれる相手もいるでしょう。
その場合でも年賀状のお礼はメールで返しても良いのでしょうか?
この記事ではそんな年賀状のお礼をメールで返しても良いケースと共に、その際のビジネスマナーを紹介していきます。
ビジネス現場でいただいた年賀状への3つのお礼方法
こちらから出していない相手から年賀状が届いた場合のお礼を伝える方法は、大きく分けて次の3つです。
- 年賀状を返す
- 電話をかける
- メールを送る
これらは差出人との関係性によって使い分けましょう。
年賀状を返す
もっとも丁寧なお礼の伝え方は、こちらも年賀状を送るというものです。
差出人がお客様(こちらがお金をいただく)であった場合や、目上の方からの年賀状であれば、できればこちらからも年賀状を出すのがベストでしょう。
ただし、通常ビジネスシーンにおいて年賀状を手にするのは、大抵が三が日を過ぎてからだと思います。
それでもすぐにアクションが起こせるのであれば構いませんが、先方にお礼の返事が届くのが松の内(1月7日)を過ぎてしまうような場合は、年賀状ではなく寒中御見舞を返すのが正式なマナーです。
電話をかける
差出人が取引先担当者などの個人で、普段から気のおけない付き合いをしている人であったならば、電話でお礼と新年の挨拶を伝えるのも良いでしょう。
ただし、仕事初めの午前中などは先方も慌ただしいであろうことを予想して、就業時間前の夕方や翌日に落ち着いてかけるなどの配慮も必要です。
実際の会話でも、新年の挨拶や年賀状のお礼以外の取引上の会話などは後日に改めて、簡潔に会話を切り上げた方が、電話の趣旨がしっかりと伝わります。
メールを送る
自社が年賀状でなくメールでの挨拶を社内ルールとしている場合や、普段からメールでやり取りをしている相手などの場合は、メールでお礼を返すのも失礼には当たらないでしょう。
年賀状のお礼で送るビジネスメールの内容
それでは実際に年賀状のお礼に送るメールの内容について考えてみましょう。
お礼のビジネスメールに盛り込む内容はおおむね次の通りです。
件名
年末年始にはどんな企業の担当者でも、関係各所からたくさんの挨拶メールが届くでしょう。
その中には同時にたくさんのスパムメールも含まれています。
それらたくさんのメールに紛れて読み飛ばされてしまわないよう、メールの件名には社名やあなた自身の名前、用件を簡潔に伝えることが重要です。
【会社名】などのように、カッコでくくって目立たせるのも有効です。
例)【◯◯株式会社 担当者名】新年のごあいさつを申し上げます
宛名
年賀状のお礼メールですから、それほど多くの送信先に送ることは無いと思いますが、複数の相手先がある場合でも同時送信などはせず、しっかりと宛先を明記するのは最低限のマナーです。
例)◯◯株式会社 △△部 役職+氏名 様
新年の挨拶
取引先相手に送るビジネス上の新年の挨拶にふさわしい賀詞は、相手を敬う言葉を入れるべきです。
これは通常の年賀状ならば「謹賀新年」や「恭賀新春」などの賀詞になるのですが、メールの場合ははがきと違ってもう少し手紙のような文章の賀詞にするほうが良いでしょう。
例)謹んで新年のお慶びを申し上げます
名乗り
通常のビジネスメールと変わらず、「〇〇株式会社△△部 □□でございます」などの名乗りの一文が必要です。
久しぶりに連絡を取る取引先相手のメールでは、こちらを思い出してもらいやすいように過去に関わった案件の名称を書くなどをするのも良いでしょう。
例)以前◯◯の件ではお世話になりました、〇〇株式会社△△部 □□でございます
旧年中の感謝
旧年中の感謝を伝えるのは、年賀メールにおいてはもっとも大切な一文です。
通常のビジネスメールであれば簡潔を良しとするケースもあるでしょうが、年頭のあいさつメールにおいてはしっかりと丁寧に伝えることが望ましいでしょう。
例)旧年中は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございました
年賀状のお礼・お詫び
丁寧に年賀状を送ってくれたお礼を述べます。
ただし、こちらから出していないということに関しては、ことさら強調する必要はありません。
相手が恐縮するほど下手に出た謝罪文を述べるのは、かえって逆効果ともなりますので注意しましょう。
例)この度はご丁寧な年賀状をいただきありがとうございました
今年の抱負
取引先への年賀メールでは、今後のビジネス上の取引がさらに邁進できるよう、あなた個人の「担当者としての抱負」、もしくは「社としての抱負」をしっかりと明記します。
例)本年も◯◯様のご期待に添えるよう精一杯努力してまいります
相手を気遣う言葉
締めの文の前には先方の健康や幸運を気遣う言葉を入れます。
ビジネス上の取引だとはいっても、やはり人と人との付き合いである以上、そういった配慮は忘れないようにしたいものです。
もしももらった年賀状に相手の近況などが書かれていたら、それについて触れるのも良いでしょう。
例)◯◯様のますますのご健勝をお祈りしております
メールに切り替えた理由
社の方針として年始の挨拶をメールにすることが決められていたのなら、その旨を一言添えておくのも良いでしょう。
特に今年からメールに切り替えた場合などは、それらの一文を添えることが大きな意味を持ちます。
例)なお、誠に勝手ながら、弊社は環境保護への取り組みの一環として、本年より年賀状の送付を差し控えさせていただくことになりました。
メールでのご挨拶となりましたこと、何卒ご容赦ください。
締めの文
締めの文では今年の厚誼を願う言葉を書きます。
通常のビジネスメールのような「どうぞよろしくお願いいたします」ではなく、「本年も何卒よろしくお願い申し上げます」など、いつもより少し丁寧な表現を使う方が年賀メールにはふさわしいでしょう。
例)本年も何卒よろしくお願い申し上げます
年賀状のお礼をメールで伝えるビジネスマナー
年賀状のお礼はケースによってメールで返しても良いことはお分かりいただけたと思います。
では、その際に気をつけるべきビジネスマナーについて、もう少し掘り下げてみましょう。
メールは企業ではなく個人に送るもの
ビジネスシーンにおいてのメールとは、企業相手ではなくあくまでも担当者個人に宛てて送るものです。
そのため宛先は「御一同様」や「会社名 御中」などは用いず、必ず会社名・部署名・役職名・個人名をしっかりと明記するようにします。
またメールというものは、はがきのように不特定多数の目に触れる媒体でなく、差出人と受取人の2人しか原則的には見ることはありません。
そのため、1対1でしか書くことの出来ない個人に宛てたメッセージを書けば、より気持ちをダイレクトに伝えられる媒体とも言えるでしょう。
メールを送るタイミング
いただいた年賀状へのお礼メールであれば、こちらから出していないことに気づいたすぐのタイミングでアクションを起こすことが大切です。
メールというものは送ったその場で相手先に届くものです。
それを逆手に取って、本来なら年賀状で返すべき相手でも、お礼を返していたら時間がかかると判断できる場合などは、メールでのお礼というのを検討してみてもいいでしょう。
避けるべき表現
通常の年賀状を送る場合と同様、年賀メールにもいくつかの忌み言葉やNGワードがあります。
主なNGワードは次のようなものがあります。
- 忌み言葉:去年⇒旧年。滅びる、絶える、病むなど不幸を連想させる言葉はすべて忌み言葉となりNG。
- 重複表現:新年あけまして~などは重複表現となるためNG。
- 日付:一月一日元旦などは、一日と元旦が同義のためNG。
- 英語の賀詞:HAPPY NEW YEARなどはあくまで親しい相手へ送る賀詞のため、ビジネスシーンでは不適切。
年に一度の年賀状の効果を改めて見直そう
経費や資源削減の意味でも、昨今ではメールにて新年の挨拶を済ませるところは多くなっています。
しかし、年に一度の年賀状というものは、手に取って差出人の顔を思い出してもらうことの出来る大切な営業ツールでもあります。
普段から積極的な交流のある相手であればともかく、最近は少し取引から遠ざかっている相手などへは、あえてメールではなく年賀状を送ってみるのはいかがでしょう?
メールのような活字のメッセージだけでなく、年賀状に一言手書きで添書をすれば、より心のこもったメッセージを届けることも出来ます。
コストパフォーマンスや納期など、さまざまな要素を比較検討して、外注の印刷業者選びをすれば、経費や手間もさほど多くはかかりません。
まとめ
いかがでしょうか?
こちらから出していない相手から届いた年賀状へのお礼を、メールで返す方法と内容、そのビジネスマナーについて解説してまいりました。
年始の挨拶をメールで送る場合と年賀状で送る場合、それぞれメリット・デメリットはありますが、いずれの場合でも新年の祝いと旧年中の感謝を伝えることが、年始あいさつの目的です。
先方から送られて慌ててお礼を返すことは、けして褒められたことではありませんので、そういったことがなるべく無いように、名刺やリストの整理は早め早めで行っておくことをおすすめします。