最近のビジネス現場では、虚礼廃止などの側面からも日本古来の風習であった年賀状などの挨拶状を省略し、メールなどに置き換えることも多くなってきました。
すでに年賀メールに切り替えた企業や、今後切り替えを検討している企業もたくさんあると思います。
そこでこの記事では、年賀状を廃止することの是非について、検討材料となるようにメリット・デメリット、さらに相手先別に考える有用性について、詳しく解説していきます。
ビジネス現場での年賀状をやめる是非
ビジネス現場で取引先や顧客との間で交わされれる文書は多岐にわたります。
それらほとんどはネットの普及によるペーパーレス化の波に乗り、メールやSNSなどへ置き換わり、虚礼廃止の考えから年賀状や暑中見舞なども省略されるようになってきました。
けれども、ビジネスの現場がそういう傾向に進むことは、良いことなのでしょうか?
それを考えるために、ここで改めてビジネスにおいて年賀状の送付をやめる、メリットとデメリットについて今一度考えてみましょう。
ビジネス現場で年賀状をやめるメリット
企業が年賀状を出すことをやめるいちばんのメリットは、それに費やす経費と手間(時間)が大幅に削減できることです。
ただでさえ忙しい12月に、年賀状を準備して発送するという業務が1つなくなれば、それまでの担当者が他の業務に携わることができ、企業としての生産性も向上するでしょう。
さらに年賀状にかけていた経費を他に回すことができるため、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
また、社内での年賀状を廃止することによって、年賀状1枚を出した・出さないによって、上司の覚えを気にすることもなくなり、社内の風通しの改善にもつながる可能性があります。
ビジネス現場で年賀状をやめるデメリット
では逆に、年賀状をやめることによるデメリットといえば、どんなものがあるでしょう。
実はこれは、これまでどういう姿勢で年賀状を送ってきたかということの左右されるのではないでしょうか?
本当に送付先(取引先、顧客、社内スタッフなど)に対して、感謝や祝いの気持ちを伝えるために年賀状を送っていたとすれば、やめることは感謝の気持を伝えられないという大きなデメリットになります。
しかし単に習慣として通過儀礼のように送っていただけなのであれば、やめるデメリットはそれほどのものではないかもしれません。
ただし、送付先があなたやあなたの企業にとって大切な関係性の人で、特に年配層の人であれば、年賀状をやめたことをマイナスに捉えることもあるでしょう。
また、相手が年賀状を送ってくれた場合に、こちらの規定により年賀状を返すことをしなければ、場合によっては不愉快に思う人もいるかもしれません。
加えて、普段はあまり互いにやり取りをすることがなく、年賀状が年に1度のコミュニケーション手段になってしまう相手(会員、一般顧客なども含む)の場合には、年賀状に変わるなにがしかの年賀メッセージは発信したほうが良いでしょう。
なぜやめるのかを考える
つまるところ、どのような気持ちでこれまで年賀状を送ってきたかによって、それ次第では年賀状をやめるデメリットはほとんどないと考えられます。
次のような条件にあてはまる場合には、思い切ってやめてしまっても問題はないでしょう。
虚礼廃止
仕事でもプライベートでも、人と人とのつながりが重要だという事実には変わりありませんが、それが年賀状という挨拶状にまで及んでいるかと言えば、いささかの疑問は残ります。
もしもこれまでの年賀状送付という業務が、形骸化した形ばかりのものだったのであれば、やめてしまうほうが手間も経費も削減することができ、さらにお互いに気を遣わずに済む分だけ楽とも言えます。
ペーパーレス化
会社の方針としてペーパーレス化を推進している企業であれば、それは素直に従うほうがいいでしょう。
ペーパーレス化という観点で年賀状をやめるのであれば、経費削減の意味でも年賀状をやめるという選択肢はありでしょう。
相手にしっかりと意思を伝えられる
年賀状は年に1度、はがきという形で想いを伝える風習ですが、そんなことはせずとも普段からしっかりとお互いに意思の疎通や感謝を伝えている相手であれば、あえて年賀状の形を取って気持ちを伝える必要は無いかもしれません。
相手先別に考える
ここではちょっと思考を変えて、年賀状を送る相手別に年賀状をやめる是非を考えてみましょう。
企業で出す場合
顧客企業・取引先担当者に宛てる
企業間取引で、仕事を発注してくれる企業や担当者に宛てた年賀状は、原則的には出し続けたほうが良いでしょう。
ただし、先方企業が年賀状の廃止を決めた場合や、そもそもが年賀状を出さない企業の場合は、次に出す年賀状に来年以降の年賀状の廃止を書き添えた上で次回に関してのみ送るという方法もあります。
取引先(下請け)へ宛てる
会社によっては下請けの企業をいくつか抱えていることもあるでしょう。
そういった場合、先方の方が気を使って年賀状を送ってくる場合もあるかもしれません。
そんな時は先方にとって得意先であるこちら側から、虚礼廃止を申し出るのはかえって思いやりにつながる場合もあります。
一般顧客に宛てる
業種・業態においては、会員や個人の顧客を抱えている企業もあるでしょう。
そういった場合は元々が送付する年賀状の枚数が膨大なものになるでしょうから、手間や経費も簡単に看過できるものではありません。
もしもメールやSNSなどのデジタルデータを確保しているのならば、今後はすべてそちらに振り替えるほうがかえって効率的ともいえるでしょう。
ただし、顧客に年配層が多い企業で、年賀状にクーポン機能などを持たせたい場合には、変わらず紙ベースの年賀状のほうがリターンは期待できるかもしれません。
個人で出す場合
同僚に宛てる
会社で普段からともに働いている同僚に宛てた年賀状は、むしろ最初から出していない人のほうが多いかもしれません。
その場合はそのままで問題はありませんが、あえて年の初めにはがきという形に残る1枚を使って、今年にかける自分なりの意気込みを伝えてみるのも一興ではあります。
直属の上司に宛てる
直属の上司に対しての新年の挨拶は、当然年明け仕事始めの日に直接顔を見て伝えるでしょう。
それであれば、年賀状はあえて出す必要はないでしょう。
もしもこれまでは年賀状を出しておいて、会社規定以外で今年からやめようと思った場合は、その旨を含めた年賀メールを出すなどするのもおすすめです。
社長・部門長に宛てる
勤め先の社長や、役職がいくつも上の部門長などに送る年賀状は、これまでも出していたとしたら、会社で虚礼廃止が決まらない限りは出し続けたほうがいいかもしれません。
それだけ立場が違う相手へ年賀メールなどを送るのは、かえって失礼なことにもなりますので、思い切ってやめるという選択肢を取らない限りは、年賀状を送り続けるのをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本来年賀状とは、新年の祝いと旧年中の感謝、そして今後の厚誼を願うための挨拶状です。
それが形式だけにとらわれて惰性で出し続けるだけであれば、やめてしまっても問題は無いかもしれません。
しかし、本当に送付先に想いを込めて送りたいと思った場合は、たった1枚の紙切れでそれを届けることができるのも年賀状です。
会社の方針とあなた自身の気持ちを重ね合わせて、もしも少しでも想いを形にしたいと思うのであれば、あらためて年賀状という日本独自の風習の良さを見直してみるのも良いのではないでしょうか?