年の瀬になると各企業が準備に追われる業務の1つとして、年賀状がありますが、ビジネスシーンでやり取りされる年賀状には、個人間でやり取りされる年賀状とは違った、守るべきマナーやルールがあります。
中でもなにげに使っていながらも、実はその使い分け方がよく知られていないものといえば、賀詞(がし)ではないでしょうか。
「賀正」や「あけましておめでとうございます」などに代表される賀詞ですが、ビジネスシーンで使うのにふさわしい賀詞は、ズバリ四字熟語の賀詞です。
この記事では、ビジネスシーンの年賀状で利用するのにふさわしい四字熟語の賀詞を、その意味合いとともに12選ご紹介いたします。
ビジネス年賀状の賀詞は四字熟語がふさわしい
漢字一文字から文章で表現されたもの、そして英語表記のものまで、年賀状に使われる賀詞はさまざまなスタイルが存在します。
>>【ビジネス年賀状における賀詞】HAPPY NEW YEARは使ってもいいの?
その中から実際に賀詞を選択する際、意外にその意味を知らずに「なんとなく」とか「響きがカッコいから」などの理由で、賀詞を選択している人も多いのではないでしょうか?
しかしビジネスシーンでの年賀状にもっともふさわしい賀詞は、四字熟語の賀詞です。
その理由をご説明する前に、まずは賀詞の役目と種類を先に確認しておきましょう。
年賀状における賀詞の意味
「賀」は「喜んで祝う」、「詞」は「ことば」や「文章」を表す言葉で、それを合わせた「賀詞」とは、お祝いの意味を表す言葉のことです。
そのため、年賀状においては「新年の祝いを伝える」ために使われ、冒頭に大きく記載され、年賀状を受け取った相手に一番強烈にインパクトを与えるメッセージとなります。
その使い分けは、送る相手先や利用シーンによってある程度のマナーやルールが決められていますので、それに反した使い方をすることは、社会通念上やビジネスマナーの上でも礼を失する事にもなりますので注意しましょう。
四字熟語の賀詞の特徴
四字熟語の賀詞は古くから年賀状で利用されていた、日本の伝統に則った賀詞です。
その種類はさまざまで、漢字四文字で表されている分、年賀状の冒頭に大きく表記することで、年賀状のデザイン自体も引き締めることができます。
業者に頼んで印刷の年賀状を作成する場合にも、書体などに凝ってみるのも自社のイメージや想いを伝えるには良い方法です。
敬意の念を含めた四字熟語賀詞6例
ビジネス年賀状にもっともふさわしい賀詞は、文中に敬意の念を示した「謹」「恭」「敬」「頌」などの漢字が含まれた、より正式で格式高い賀詞です。
これらの賀詞であれば、目上の人や大事な取引先に宛てた年賀状だとしても、問題なく利用することができます。
しかし、目下の人相手や、下請け企業などに送る場合は若干恭しすぎて、堅苦しさを与えてしまう場合もありますので、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
謹賀新年(きんがしんねん)
年賀状に使われる四字熟語の賀詞の中でも、もっともよく使われる賀詞です。
「謹んで新年のお慶びを申し上げます」という意味を持っており、ビジネスユースでの年賀状の賀詞選びに迷ったら、とりあえずこの賀詞を使っておけば間違いはありません。
謹賀新春(きんがしんしゅん)
「謹んで新春のお慶びを申し上げます」という意味を持ち、こちらも年賀状の定番として利用される賀詞です。
日本語の「新春」には「新しい年」という意味がありますので、「謹賀新年」とほぼ同じように利用することができます。
恭賀新年(きょうがしんねん)
「恭しく新年のお慶びを申し上げます」という意味を持つ賀詞で、こちらも年賀状にはよく利用されています。
「謹賀新年」では当たり前すぎると思った時は、こちらの賀詞を選んでみてはいかがでしょう。
恭賀新春(きょうがしんしゅん)
「恭しく新春のお慶びを申し上げます」という意味を持ちますので、こちらも「恭賀新年」と同じ新年を祝う言葉を、丁寧に述べた賀詞となります。
恭頌新禧(きょうしょうしんき)
「恭しく新年のお慶びをお讃え申し上げます」という意味を持つ賀詞で、先の4例よりは1段丁寧な賀詞となります。
日頃お世話になっている取引先企業相手や、個人で送る場合にも役職や年齢が自分より遥かに上の人に送る年賀状にふさわしい賀詞です。
敬頌新禧(けいしょうしんき)
こちらで紹介した6例の中では、もっとも丁寧な表現がされた賀詞です。
意味は「恭しく新年のお慶びをお讃え申し上げ奉ります」というもので、相当に尊敬の意が含まれた賀詞となっています。
そのためビジネスシーンでも、下請け企業や親しい間柄の相手に送ると、ともすれば嫌味なぐらい丁寧な内容のため、かえって失礼に当たる可能性もありますので注意しましょう。
プレーンに使える四字熟語賀詞
四字熟語の賀詞だとはいっても、必ずしもすべての賀詞に敬意を表する言葉が入っているわけではありません。
次に紹介する賀詞は、特別に敬意を表する意味の漢字は含んでいませんが、それでもやはり四字熟語の賀詞は、他の賀詞と比べれば丁寧な表現となりますので、ビジネスユースなどでも十分に利用することはできます。
慶賀光春(けいがこうしゅん)
「輝かしい新春のお慶びを申し上げます」という意味を持つ賀詞で、年賀状に書く言葉としてふさわしい、喜ばしい雰囲気を持っています。
透明感が高く光に溢れた元旦の朝を表現したかのような賀詞は、十分に丁寧な賀詞としてビジネスユースでも利用することができるでしょう。
新春来福(しんしゅんらいふく)
「新しい年に福が来ることをお祈り申し上げます」といったような意味を持つ賀詞です。
新春を迎えるのにはふさわしい賀詞ですが、若干やわらかい印象を持つため、堅苦しさを出したくない一般ユーザーなどの顧客向け年賀状などにはピッタリです。
瑞祥新春(ずいしょうしんしゅん)
「新年を喜び、吉兆をお届けします」といった意味を込めた四字熟語で、相手の幸福を祈る想いをこめた賀詞です。
敬意の意味自体は含まれていませんが、吉兆を予感させる明るく新年にふさわしい賀詞ですので、ビジネス年賀状でも十分利用できます。
迎春万歳(げいしゅんばんざい)
二字熟語の「迎春」に「万歳」が加わった四字熟語で、「新年を迎えお慶びを申し上げます」という意味を持ちます。
新たな年を迎えた喜びを「万歳」という言葉に込めた賀詞ですので、「迎春」よりも遥かに丁寧な賀詞としてビジネスでも使っていただけます。
笑門来福(しょうもんらいふく)
文字を見れば分かるように、「笑う門には福来る」が転じて、賀詞としては「笑顔でいられるよう幸福をお祈りいたします」という意味を持っています。
非常におめでたく明るい雰囲気を持った賀詞として、イラストやデザインと合わせたトータルイメージを演出したいものです。
鶴寿千歳(かくじゅせんざい)
「千年生きる鶴のように、長生きすることをお祈り申し上げます」という意味を持った賀詞です。
同じビジネスユースでも、企業や部署に宛てた年賀状ではなく、代表者や取引先担当者などの個人宛に送る年賀状にこそふさわしい賀詞です。
まとめ
ビジネスシーンで使用される年賀状に向いた、四字熟語の賀詞を意味合い別に12選紹介してまいりました。
敬意を表する言葉が入っていてもいなくても、四字熟語の賀詞は他の賀詞と比較すると、より丁寧な表現の賀詞となりますので、目上の人や取引相手に送る場合でも失礼がないビジネスマナーに則った賀詞です。
こうした賀詞にも、一般的な「謹賀新年」や「謹賀新春」以外にもさまざまな賀詞がありますので、たまにはいつもの賀詞とは違った賀詞を選択してみてはいかがでしょう。
年賀状印刷を請け負ってくれる業者によっては、こうした変わり種の賀詞でも、美しいフォントで表現してくれるところもありますので、うまくそういった業社を利用して、忙しい年末の業務効率化に役立ててください。