突然ですが、皆様は新年を迎え、取引先と年賀状を取り交わす際に、
「取引先の会社に年賀状を出すときって宛名はどうするんだろう?」
と疑問に思われたことありませんか?
そこで今回はそのような疑問に回答すべく、会社関係者へ年賀状を出す際の注意点を宛名中心にご説明していきます。
そもそも御一同様とは?
御一同様とは、「一同」に丁寧語の「御」と敬称の「様」を加えたものです。
その肝心の「一同」には、「その場にいる全員」という意味があり、「社員一同」「スタッフ一同」「家族一同」といったような使い方をします。
宛名として「一同」を使用する場合は敬称をつけるので、「〇〇御一同様」というような表現となります。
ただ、宛名を書く際に対象者が2名までであれば、メインとなる「〇〇様」の横に「◇◇様」と連ねる形で2名の名前を書く(連名記載する)ことができます。
宛名が3名以上となってしまう場合には、「一同(御一同様)」を使って表現しましょう。
例外として、夫婦2名の名前に加えて子供の名前を記載する場合には、全員分を含めた3名まで連名にする場合もあります。
また、家族宛ての年賀状等で夫婦2名+子供2名を連名で記載されることもありますが、この場合、厳密には「世帯主の名前+様」と「御家族御一同様」の連名となります。
子供の名前は省略することもできますので、夫婦2名の連名だけでも問題はありません。
~御中との違い~
同じように多くの人への宛名をまとめたものとして「御中」をイメージされた方が多いかもしれませんが、「御中」と「御一同様」は全くの別物という点に注意しましょう。
御一同様は複数の【人】をまとめた物であるのに対し、御中は【組織】が対象の場合に使います。
御中とは、「中の人へ」を表す「中」に丁寧語の「御」をつけたものです。
「〇〇株式会社 御中」と記載すると、〇〇株式会社という組織に宛てた郵便物とみなされますので、「その会社の中に所属する誰が開封しても大丈夫です」という意味を持ちます。
御中は「読む人を特定しない」ため、年賀状等の個人への挨拶を送る際には適さない宛名と言えます。
取引先への年賀状は基本的に個人宛
仕事の取引先への年賀状は、担当者個人に宛てて出すのが望ましいです。
「御中」、「御一同様」、「様」は、
(2)2名以内か、3名以上か(対象の人数)
により使い分けられます。
もちろんそれぞれの適した場面はありますが、
新年の挨拶や日頃の感謝の気持ちを表す年賀状では、担当者個人に宛てた「様」が最適でしょう。
「〇〇株式会社 御中」や、「〇〇株式会社 ◇◇部署 御一同様」の場合だと、目的としている方に届かない可能性もあります。
同じ会社に付き合いのある担当者が複数名いる場合も、出来ればそれぞれの個人宛てにご挨拶をする方が、相手にとっても嬉しいですよね。
年賀状を書く際の注意点
ビジネスとして取引先に年賀状を出す場合、担当者個人宛てに「様」を用いることが適していることはお分かりいただけたかと思います。
ここからは、そもそもの年賀状の書き方として、ついついやってしまいがちなマナー違反事例を紹介します。
(1)書き損じへの対処法
事例:気持ちを込めるために、手書きで宛名やコメントを記載していたら書き損じてしまった。
せっかくの新年の挨拶に修正の跡があると、
「自分には適当に挨拶を済ませるのかな」という気分にさせてしまうリスクがあります。
一年のスタートなので、気持ちよく挨拶できるように、修正の痕跡は残さないようにしましょう。
書き損じのハガキは郵便局にて1枚5円で新品に交換してもらうことが可能ですので、惜しまずに対応するようにしましょう。
(2)略字の使用
事例:たくさんの宛名を手書きで書くと時間がかかり効率的でないので、無駄な部分は省きたい。
基本的に正式な挨拶な年賀状で「省略」という行為は失礼に当たります。
※株式会社を(株)にしたり、「東京都」を省略したり、ビル名等を記入しないことなど。
特に注意が必要なのは、名前の旧字体を常用漢字に直してしまう事例です。
「齋藤」や「渡邊」を始め、微妙に自体の違うものもあるので、相手の名前を記載するの際には十分注意しましょう。
(3)他者との差別化
事例:たくさん届く年賀状の中でも目立ち、印象を強く与えたい。
宛名に色ペンを使うのはマナー違反になりかねません。
赤字で名前を書いてはいけないことは有名ですが、正式には黒や紺以外の色で宛名を書くことも失礼に当たるので控えましょう。
自分からの年賀状をより印象に残したい場合は書き添えるコメントや挨拶文を工夫しましょう。
関係性によっては相手との思い出話を入れるなどもよいでしょう。
(4)宛名の書き方
事例:毎年年賀状を出している上司に一風変わったスタイルの年賀状を出したい。
上司や目上の方への年賀状では、「宛名は縦書き」が正式な形です。
親しい友人であれば問題はありませんが、基本的に横書きは失礼に当たる可能性があることを押さえておきましょう。
また、宛名を横書きにした場合は、年賀状の内容も横書きにしましょう。
どうしても雰囲気を変えたい場合は、あまり派手過ぎない程度に裏面を工夫するとよいでしょう。
以上が年賀状を出す上で、気を付けたい項目です。
これらの内容を守って仕上げた年賀状でも、肝心の敬称が間違えていたら元も子もないので、前述の内容を踏まえて正しい敬称をつけるようにしましょう。
敬称の使い分けについて
年賀状を出す際の敬称については前述の通りですが、その他の郵便物についての敬称はどう使い分ければ良いでしょうか。
この場合も考え方は年賀状と同じで、その郵便物を誰に届けたいのかによって使い分けます。
担当者個人に届けたい場合
担当者個人へ届けたい場合には、敬称は「様」を使います。
書き方としては、以下のようになります。
この際、以下の2点が特に間違えやすいポイントですので注意してください。
② 二重敬称
例)
→ 肩書と氏名の順番が逆になっています。
口語では「◇◇部長!」と呼ぶことが多く、陥りがちなミスなので注意しましょう。
→ 御中と様を同時に使うことはできません。
個人の名前を記載する場合には御中は不要となります。
また、宛先が部署の場合は部署名の後に御中をつけることも可能です。
会社や部署全員に届けたい場合
会社や部署全員に届けたい場合の敬称は「御一同様」を使います。
取引先の部署全員宛てに郵便物を出す際には御一同様を用いるのが最適です。
宛先が全員となるので、「皆さんに届けました」というニュアンスが生まれ、「皆さん見て下さい」という意味になります。
会社という組織に届けたい場合
会社という組織に届けたい場合の敬称は「御中」を使います。
相手が会社になるので、郵便物の内容は会社に対して効果を発揮します。
御一同様のように「皆さん見て下さい」というニュアンスは一切持たず、「誰でも良いので開封・確認してください」といった意味になります。
その他敬称の使い方:「殿」
よく間違えがちなのが、「殿」の使い方です。
賞状などで使われているため、「何かを成し遂げた人」、「目上のすごい人」に使う敬称だと思われておりますが、実はその反対の意味を持つ敬称ですので気を付けてください。
実は、「殿」は自分よりも目下の人につける敬称とされているので、目上の方に「殿」を使うことは失礼に当たります。
「様」であれば誰にでも使うことができるので、普段から悩まず「様」を使う方がミスがなくていいかもしれませんね。
まとめ
古くからの文化や礼儀には、勘違いしたまま覚えているものも少なくありません。
特に敬語や敬称については、日頃から意識をしていないと、1つのミスが大きな損失に発展することもあり得るでしょう。
出来て当たり前の作法を完璧にこなすことは大変かもしれませんが、日本の文化を継承していく立場としても、正しい作法をマスターしたいですね。
ビジネスにおいては取引先との関係性を左右させる要素の1つですので、是非この機会に正しい敬語・敬称・礼儀を身に付けていただけたらと思います。