一般的に、日ごろお世話になっている人に対してはお正月に「年賀状」を送るものですが、例外的にそれが間違ったマナーになるタイミングがあります、それが「喪中」です。
喪中の理由となる「親族が亡くなった」という情報は何らかの方法で得られるでしょうから、もし取引先の関係者が亡くなったとしたら「あの会社は喪中だ=年賀状を出すべきではない」と考えるのもおかしくはないでしょう。
そこで、喪中の会社に年賀状を出すべきかどうかについて解説します。
1「喪中」の基本マナー
まずは、一般的な「喪中のマナー」について解説します。
喪中とは?
「喪中」とは、近親者が亡くなった際に一定の期間、死を悼んで身を慎むことをいい、このことを「服喪」や「忌服」といいます。
喪中には故人の冥福を祈り、行動を慎んで晴れがましいことや派手な行動は慎みます。
喪中のさまざまなイベントの過ごし方
喪中には、前述の通り「行動を慎んで晴れがましいことを慎む」とあり、喪中マナーの代表格といえば「喪中はがき・年賀状」のマナーでしょう。
喪中の間は、年賀状のやり取りはしないのが一般的なマナーです。
そのため、喪中の方は「我が家は現在、喪中なので年賀状はお控えください」という案内を行うための「喪中はがき」を、一般的に「相手が年賀状を準備し始めるまで」に送ります。
喪中はがきを受け取ったら、その家は喪中だからということで年賀状は送りませんが、喪中になったタイミング等で年賀状の発送と行き違いになることもあります。
そして、喪中にはさまざまなイベントが通常の場合と異なる過ごし方をし、その多くは「喪中にはやってはいけないこと」としてマナー化されているのです。
喪中に避けなければならないこと
喪中に避けなければならない・やってはいけないことは、基本的に「お祝い事への参加」や「大々的な遊行」です。
具体的には、以下の行動は喪中には避けておきましょう。
- 結婚式への参加
- 自分自身が結婚する
- 旅行に出かける
- 神社に参拝する
逆に、喪中に行っても基本的に問題ない行動もいくつかあり、例えば以下の行動は問題ないとされています。
- 他の方の葬式への参列
- お歳暮やお中元のやり取り
- 節分の豆まき
- ちょっとした交遊(スポーツ観戦や飲み会への参加など)
ただし、「遊行」に該当する可能性がある行動に関しては節度をもって行動しなければなりませんし、人によっては「喪中なのに○○している…」と不快に感じるかもしれませんので注意しましょう。
2.会社の喪中と年賀状について
では、「会社の喪中」の場合のルールはどのようになっているのでしょうか?
「会社の喪中」はそもそも存在しない
結論から述べると、そもそも「会社の喪中」というものは存在しません。
前述の通り、喪中とは「近親者が亡くなった」ことに由来するため、個人には該当しない「会社という存在」が喪中になるということは、概念として正しくないのです。
例えば「社長が亡くなったら、さすがに喪中になるのでは?」と思われるかもしれませんが、喪中になるのはあくまでもその社長の近親者だけであり、会社は無関係です。
そのため、仮に取引先の重役が亡くなったことを知って、一般的に喪中の期間にお正月を迎えるとしても、年賀状を送っても何ら問題ありません。
「同族経営」など例外あり
一般的な会社は代表者など重役が亡くなったとしても喪中になることはありませんが、例外的に「家族経営」「同族経営」の会社の場合は、関係者が亡くなったことに由来して喪中になることもあります。
家族経営など、特定の家族関係が会社の運営にとって切り離せない関係にある場合、会社とは言え喪中になる場合があるのです。
取引先から喪中はがきを貰った場合は?
会社の喪中に関しては判断が難しいことも多く、年賀状を送るべきかどうかについては「喪中はがきをもらったかどうか」で判断すると良いでしょう。
同族経営などの場合で会社が喪中になった旨を喪中はがきにて知らされた場合は、年賀欠礼にあたりますので年賀状を出すのは避けてください。
一般的な喪中はがきのマナーを守っていれば、こちらが年賀状を出す前に喪中はがきが届くはずなので、間違って喪中の会社相手に年賀状を出さないようにしましょう。
3.喪中の「お歳暮」のマナー
最後に、年賀状と同じようなタイミングで必要になる「お歳暮」の喪中マナーについて解説します。
喪中でもお歳暮を贈るのは問題ない
まず基本的なこととして、喪中の相手にお歳暮を贈ること自体は、マナー上で問題はありません。
喪中に避けるべきは「お祝い事」や「大掛かりな遊行」であり、お歳暮の意味は「日ごろの感謝を伝える」ことなので、喪中に避けるべき事柄には該当しません。
また、同じ理由から夏に贈る「お中元」も、喪中に贈って特に問題はありません。
ただし、喪中にお歳暮やお中元を贈る際には、以下の2つについて注意して贈ってください。
- 「忌中」は避ける
- 「紅白の水引は避ける」
「忌中」は避ける
喪中にお歳暮を贈る場合、「忌中」を避けて贈る必要があります。
忌中とは、近親者が亡くなってから四十九日までの期間であり、喪中と異なり忌中には贈り物のやりとりも避けるべきだと考えられています。
そのため、お歳暮も忌明けのタイミングを見計らって贈るようにしてください。
なお、忌明けのタイミングがお正月を過ぎてしまうこともあると思いますが、その場合は「寒中見舞い」として品物を贈ってください。
「紅白の水引」は避ける
一般的なお歳暮の場合「紅白の水引」を用いるのですが、喪中のお歳暮の場合はこれを避けてください。
紅白の水引は一般的に「慶事用」であるため、お祝い事としての意味合いを持たせてしまうため喪中にはそぐわないのです。
喪中にお歳暮を贈る場合には、白無地の奉書紙か、無地の短冊に「お歳暮」の表書きをして贈るようにしましょう。
お歳暮は購入店で対応してもらうことが多いので、店員さんに「喪中に贈るお歳暮である」という旨を伝えて対応してもらってください。
まとめ
覚えておくべきことは「会社に喪中はない」「家族経営などの場合は喪中になることもある」「喪中はがきを受け取ったら、こちらも年賀状を控える」の3つです。
お歳暮も「忌中」「紅白の水引」を避けて贈れば問題ありませんので、贈るタイミングとラッピングの指示について注意して贈ってください。
その他、喪中の年賀状やお歳暮などについて不明な点がある場合には、同僚や上司に相談して礼を失することのないように注意しましょう。