会社にお歳暮を贈るのはコンプライアンス違反?その現状と対応について

お歳暮 コラム

「コンプライアンス」という言葉を耳にする機会が増えた昨今。
これまで当たり前に贈り合っていたお歳暮が、最近では、会社のコンプライアンス問題
として取り上げられることも少なくありません。

今回の記事では、大企業でお歳暮が贈答禁止になった背景やお歳暮を
受け取ってしまったときの対処方法、1年の感謝を伝える方法などを解説します。
お歳暮を贈ろうか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社に届けてもよい?お歳暮にまつわるコンプライアンスの現状

悩むスーツの男性

会社同士で贈り合うお歳暮は、かつては「当たり前」に存在していた習慣でした。
しかし、最近では大企業を中心に、コンプライアンスの関係で、お歳暮を
禁止にしている
会社も増えてきています。
なぜお歳暮が禁止になりつつあるのか、近年のビジネス界のお歳暮事情を説明します。

大企業は贈答禁止の企業が多い

お歳暮は本来お世話になった方へ、その1年の感謝の気持ちを伝えるための贈り物です。
しかし、最近ではお歳暮を贈る理由よりも、「取引先へ物を贈る」という行為が、
コンプライアンス違反として捉えられることが少なくありません。

大企業の多くは、お歳暮の授受が利害関係の一部に使われるリスクがあり、取引先間で
公平性が失われると考え、お歳暮の贈答を禁止しています。
なかには、社内にコンプライアンス委員会を立ち上げ、取引先が担当者の個人宅に
お歳暮を届けることを禁止するよう指導している会社もあるほどです。

お歳暮を禁止している会社のすべてが、コンプライアンスを考慮して禁止しているわけでは
ありません。
お歳暮の習慣が本来の意味を失い、儀礼としてのみ習慣が残っている捉え、虚礼廃止
として、お歳暮のやり取りをしないように社員に働きかけている会社もあります。

ほかにもお歳暮にかかるコストを削減したいという、費用重視で廃止するケースもあります。

ビジネスシーンでのお歳暮の授受は、会社間だけの問題ではありません。

以前は、社内での人間関係の構築のために、上司に感謝の気持ちを込めてお歳暮を
贈る人が多くいました。
しかし、お歳暮の習慣そのものが慣例化してしまうと、ハラスメント問題に繋がるリスクから、
社内でも、お歳暮の習慣を禁止している大企業が増えてきています。

中小企業は従来どおりお歳暮を取り交わす会社も多い

中小企業では、お歳暮とコンプライアンスの関係を大企業ほど深刻には捉えておらず、
お歳暮に関して細かなルールを設けていない企業も多くあります。
発注元(メーカー)が受注先の企業にお歳暮を贈るのも、珍しいことではありません。

これは、お歳暮についての捉え方の違いで、中小企業の多くは大企業とは異なり
お歳暮を「物を贈る」という観点で捉えていません。
本来の「感謝の気持ちを伝えるツール」としての観点を重視しているからだと考えられます。

画一的に、お歳暮はダメなこととするのではなく、状況に合わせて対応することが大切だと
いえるでしょう。

贈り先が贈答禁止を知らずにお歳暮が届いたときの対応

バツ印を出す男性

社内でお歳暮の贈答が禁止されているにも関わらず、取引先からお歳暮が届いてしまったら
どのように対処したら良いのでしょうか。
失礼な態度を取ってしまうと、相手に不愉快な思いをさせてしまうかもしれません。

お歳暮を断るときは、贈ってくれた相手に失礼のないように、スマートに対応したいものです。
贈られてきたお歳暮を受け取れない場合の対処方法を解説します。

贈られたお歳暮を受け取り、次回からお断りする意思を伝える

お歳暮の受け取りトラブルを避けるためにも、基本的には、お歳暮を受け取るよりも前に、
あらかじめ自社がお歳暮を含んだ品物の贈答が禁止されていることを、
先方に伝えておくのがルールです。
正確な情報を伝えておくことは、贈る側と受け取る側の双方にとってメリットがあります。

しかし、贈答禁止の話をするきっかけがなかなかないというときは、事前に相手に情報が
伝わっていないため、お歳暮が手元に届いてしまうことがあります。
そのようなときは、失礼のないように、次回からのお歳暮をお断りすることを伝えると問題
ありません。

お歳暮をお断りするときは、次回からのお歳暮を断る旨を伝えるときに、「いつもお心遣いを
賜り、ありがとうございます」と、先にお歳暮を贈ってもらったことへの感謝の気持ちを伝える
ことをおすすめします。
お歳暮を品物として捉えるのではなく、相手の気持ちの表れだと受け止めることが大切です。

お歳暮の受け取りを拒否する場合マナー

お歳暮の受け取りを拒否したいときは、マナーを守って失礼のないように対応したいところです。
配達されたときに贈られたお歳暮を受け取り拒否するのは、相手の思いを全面的に
受け止めないような印象を与えてしまうため、避けたほうが無難です。

贈答禁止にも関わらずお歳暮が届いたときは、いったんお歳暮を受け取ったあとに、
今回お歳暮を贈ってもらったことへのお礼と、贈答禁止のため次回からはお断りしたい
という旨の手紙を添えて送り返し
ましょう。

お歳暮を送り返すには、経費や労力を要してしまうため、事前に贈答禁止であることを
きちんと伝えておくことをおすすめします。

お歳暮を贈る本来の目的を理解する

お歳暮

お歳暮といえば、その年にお世話になった人に感謝の気持ちを伝えるために贈りますが、
お歳暮本来の意味や由来をご存じでしょうか。
なぜ年末にお歳暮を贈るのか、その由来を説明します。

お歳暮の本来の由来とは

お歳暮について理解するには、本来の由来を知っておくと良いかもしれません。
お歳暮は本来、お正月に先祖の霊を迎えて供養し、年神様に福を分けてもらうという、
「お精霊祭り(おしょうりょうまつり)」のお供えものとして贈られていたものです。

本家や実家に帰省するときに、年神様のお神酒のおつまみになり、
かつ日持ちのするもの(例えば数の子やするめなど)を持参していたことが、現在の
お歳暮のルーツとなったとされています。

1年の感謝の気持ちをギフトに変えて届ける

前述したように、お歳暮の始まりは親族内での贈りものでしたが、明治以降、お得意様や
日ごろお世話になっている方へも、お歳暮を贈る習慣が定着するようになりました。
ビジネスシーンでも社内外で、感謝の気持ちを伝えるアイテムとして活用されてきたのが
お歳暮です。

現在では、お歳暮に含まれる「感謝の気持ちを伝える」ということよりも、「会社間で品物を
やり取りする」という側面に注目が集まり、お歳暮はコンプライアンス違反に関わるとして
禁止する会社が増えてきました。

お歳暮を「気持ち」として捉えるのか、「品物」として捉えるのかは、意見が分かれる
ところでしょう。
お歳暮について贈答禁止とされている場合でも、お互いに感謝の気持ちを忘れないこと
が大切です。

お歳暮を贈られない会社には年賀状でご挨拶を

ミニチュアの郵便局の車

お歳暮が贈答禁止とされてしまう場合、どのようにして日ごろの感謝の気持ちを伝えれば
良いのでしょうか。

年始にお世話になった気持ちを伝えるアイテムが「年賀状」です。
お歳暮を贈答禁止としている会社であっても、年賀状を禁止しているところはほとんど
ありません。

お得意様や取引企業への感謝の気持ちを年賀状に込めてみてはいかがでしょうか。
年賀状なら、旧年中の御礼とともに新年の挨拶を兼ねることもできるため、お互いが
気持ち良く新しい1年をスタートさせられます。

最近では、その会社の社屋や商品、担当者の写真入りで年賀状を作成する会社も
あります。
会社の個性が発揮されるような年賀状は、受け取った人にインパクトと親近感を
与えることができるためおすすめです。

気持ちの伝わる年賀状で、スマートに感謝を伝えましょう。

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