年末が近づくとどの企業でも、年賀状の発送準備に追われることと思います。
そんな年賀状において大事な役割を持つ「賀詞」は、どのようなものを選べばいいのでしょう?
「賀正」や「謹賀新年」など、賀詞には様々な種類がありますが、ビジネス現場で取引先相手に送る年賀状で、「HAPPY NEW YEAR」など英語の賀詞は使っても良いのか。
あなたは即答できますか?
結論から言えば「HAPPY NEW YEAR」という英語の賀詞は、ビジネス現場で使うには必ずしもふさわしい賀詞とは言えません。
しかし条件によっては「HAPPY NEW YEAR」といった英語の賀詞を使うこともあるでしょう。
この記事では、年賀状にふさわしい賀詞のビジネスマナーを考えるとともに、英語の賀詞を使用する場合の注意点などについて考えていきます。
ビジネス年賀状における賀詞
ビジネスの現場で年賀状を送る相手先は、ほとんどの場合は取引先の企業になるかと思います。
そんなビジネス用年賀状の文面というのは、個人間でやり取りされる年賀状で目上の方に送る場合と同じように、先方に失礼のないものを選ぶ必要があります。
その中で一番文頭に書かれる賀詞とは、そもそもどのような役割を持っているのでしょうか?
賀詞は何のために使われるか
賀詞とはお祝いの意味を表す言葉の全般のことを言い、年賀状においては「新年の祝いを伝える」ために使われます。
その種類は漢字1文字、2文字、4文字、さらには日本語や英語の文章のものまで様々あって、日本語独特の表現の豊かさを感じさせてくれます。
ビジネス年賀状にもっともふさわしいのは四字熟語の賀詞
目上の方や取引先などに送る年賀状の場合では、単に新年の祝いを伝えるだけでなく、相手に対しての敬意などを丁寧に伝える意味を含ませる必要があります。
つまり「謹んで(つつしんで)」や「恭しく(うやうやしく)」などの言葉を含んだ賀詞を選ぶべきで、中でも四字熟語のものは元々そういった丁寧な意味を含んだ賀詞ですので、ビジネス年賀状にはもっともふさわしい賀詞と言えるでしょう
そんな四字熟語の賀詞は、主に次のようなものが使われています。
四字熟語の賀詞一例
- 謹賀新年(きんがしんねん):謹んで新年のお慶びを申し上げます
- 謹賀新春(きんがしんしゅん):謹んで新春のお慶びを申し上げます
- 謹賀新春(きんがしんしゅん):謹んで新春のお慶びを申し上げます
- 恭賀新年(きょうがしんねん):恭しく新年のお慶びを申し上げます
- 恭賀新春(きょうがしんしゅん):恭しく新春のお慶びを申し上げます
- 恭頌新禧(きょうしょうしんき):恭しく新年のお喜びをお讃え申し上げます
- 敬頌新禧(けいしょうしんき):恭しく新年の喜びをお讃え申し上げ奉ります
HAPPY NEW YEARなど英語の賀詞は使ってもよいのか
ビジネス現場において取引先に出す年賀状では、敬意を表する意味を含んだ四字熟語の賀詞がふさわしいのはお分かりいただけたと思います。
そういった意味では、「HAPPY NEW YEAR」などの英語の賀詞には、そのような丁寧な意味は含まれていません。
そのため本来は親しい友人などに送る年賀状でのみ使われ、取引先に送る年賀状にはあまりふさわしくないでしょう。
英語の賀詞が使える例
しかし、近年では年賀状の表現や役割も多岐に渡って捉えられてきたこともあり、条件や状況によっては必ずしも失礼に当たらないといったケースもあります。
それは主に次のような場合が考えられます。
社名が英文字を利用する企業の場合
そもそも外国には年の初めに年賀状を送り合うといった習慣はありません。
しかし日本に事業所を置く外資系の企業などが、日本の風習に基づいて年賀状を送る場合などでは、英語の賀詞でも失礼に当たるとは言えないでしょう。
同様に日本企業の場合でも、社名が英語表記やカタカナ表記の企業などでは、むしろ英語の賀詞を利用することも不自然ではありません。
広告やデザインなどクリエイティブな企業の場合
広告会社やデザイン会社などクリエイティブな業務を行う企業などでは、そのブランドイメージを表現するためには英語の賀詞を利用するほうがふさわしいといった場合もあるでしょう。
近年は多くなったIT系企業や、フリーランスの方の場合でも同様なことは言えるかもしれません。
飲食店などカジュアルなイメージの企業の場合
飲食店、中でも海外の料理を専門に扱うレストランなどでは、英語に限らず自店の料理の母国となる国の言葉で賀詞を表現するのもいいでしょう。
また、必ずしも各国料理のレストラン以外でも、洋風居酒屋や無国籍料理のようなカジュアルな形態の飲食店の場合でも、「HAPPY NEW YEAR」など英語の賀詞を利用して年賀状を製作するのも、自店のブランドイメージを伝えるには有効な手段となります。
HAPPY NEW YEARとA HAPPY NEW YEARは違う
「HAPPY NEW YEAR」の文頭に「A」を付けて、「A HAPPY NEW YEAR」という表現を使った年賀状を目にしたことがある方もいるかもしれませんが、これはどちらが正しいのでしょう。
英語では「I wish you a happy new year(新年おめでとうございます)」などのように、文中で「HAPPY NEW YEAR」を名詞として使う場合があります。
この場合では、直訳すると「あなたが幸せな一年を過ごせますように」という意味となりますので、「A」がつくことは不自然ではありません。
しかし賀詞として使用する場合では、「A HAPPY NEW YEAR」は「良い一年を(良いお年を)」という年末の挨拶となりますので、年賀状に使うのは間違いです。
年賀状はプロの業者を使って効率的に送ろう
年に一度の有効な宣伝ツールとして利用できる年賀状ですが、最近ではパソコン用フリーソフトや、無料画像サービスなどを利用して、個人でも簡単に見映のいいものを作ることできるようになってきました。
しかし、ただでさえ忙しい年末に行わなければならない作業ですので、少しでも手間を減らし、かつクオリティの高い年賀状を作るためにも、プロの外注業者に任せるというのは有効な手段です。
その際は価格の安さだけで選ぶのではなく、自店のイメージに合った年賀状が作成できるかなど、クオリティに目を向けることも忘れてはいけません。
年賀状にかけられる予算はいくらまでなのか?どこからどこまでをプロに任せるのか?など、しっかりと費用対効果を考えた上で、賢い業者選びを行うのも、年賀状製作の大事なポイントです。
まとめ
ビジネス現場で取引先に送る年賀状で使用する賀詞は、正式には相手に敬意を評した四字熟語の賀詞を使うのがもっともふさわしいビジネスマナーです。
しかし、企業の業態やブランドイメージによっては、時として「HAPPY NEW YEAR」などの英語の賀詞を使うことも検討してみても良いでしょう。
取引先との円滑な取引を促す営業ツールとしても大事な年賀状。
年末の忙しい時期の恒例業務だからこそ、外注業者を利用して賢く作業の効率化を図るなど、自社の積極的な営業戦略として有効活用してください。